スーパーGT 第3戦鈴鹿 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE
猛暑の中セーフティカー3回の波乱戦
関口/フェネストラズ組GRスープラが3位表彰台
スーパーGTの第3戦が鈴鹿サーキットで行われ、路面温度50度の猛暑、3度のセーフティカーが導入される荒れたレースとなる中、ランキング首位の関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組 au TOM’S GR Supra 36号車が重いウェイトハンデをはねのけて3位表彰台を獲得。ランキング争いで2位以下との差を大きく広げることとなりました。
SUPER GT第3戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』が8月22日(土)、23日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。
3か月遅れで開幕した2020年シーズンのスーパーGTも、3戦目を迎えました。ここまでの2戦は富士スピードウェイで行われましたが、今大会は鈴鹿サーキットへと舞台が移ります。今大会も前戦同様無観客で、スタッフの感染防止対策を充分に実施した上での開催となります。
TOYOTA GAZOO Racingが今季よりスーパーGTのGT500クラスに新たに投入したGRスープラは、開幕戦でトップ5を独占。第2戦では勝利こそ逃したものの、2-3-4位に入り、ドライバー及びチームランキングでは上位を占めています。その分重さを増すこととなったウェイトハンデと、GRスープラにとっては初めての鈴鹿、そして真夏の猛暑という条件の中でのGRスープラの戦いぶりに注目が集まりました。
前2戦は外国人の入国規制により欠場を余儀なくされていたDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車のヘイキ・コバライネンが、今大会よりようやく合流。GT300クラスのarto RC F GT3 35号車は、ドライバーの入国が間に合わず、前戦と同じ佐々木雅弘/堤優威のコンビがドライブします。
予選
22日(土)は朝から好天に恵まれ、気温もうなぎ登りの真夏の暑さに。気温33度、路面温度は50度を越えるという、ドライバーにも車両にも、タイヤにも厳しいコンディションで午後2時半よりノックアウト方式の予選が開始されました。
Q1では、石浦宏明のZENT GR Supra 38号車が残り1分で記録したタイムで3番手、今季よりGT500クラスフル参戦の宮田莉朋がアタックしたWedsSport ADVAN GR Supra 19号車がチェッカー目前に5番手タイムをマーク。開幕から2戦連続で3位表彰台を獲得し、44kgのウェイトハンデを積む大嶋和也のWAKO’S 4CR GR Supra 14号車も7番手でQ2進出を果たしました。
中山雄一がアタックした39号車は、僅か0.089秒進出ラインに届かず、9番手で惜しくもQ2進出ならず。ランキング1位、2位につける36号車とKeePer TOM’S GR Supra 37号車は、共に課されているウェイトハンデ及び燃料リストリクター制限が響き、それぞれ12番手、11番手でグリッドが確定しました。
Q2では、立川祐路の38号車が好タイムをマーク。0.07秒及ばず最前列には届きませんでしたが、3番手グリッドを獲得。ぎりぎりまでコースインを遅らせ、一発アタックに賭けた14号車は、若き坪井の健闘で2列目4番手。国本雄資がアタックした19号車が6番手グリッドから決勝レースに臨むこととなりました。
GT300クラスは、今大会もQ1は2グループに分けて実施。A組では中山友貴のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 31号車が唯一1分58秒台に入れる速さを見せトップタイム。開幕戦で優勝し、ランキング首位につけ75kgものウェイトハンデを搭載する埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車は川合孝汰のアタックで5番手タイムをマークし、上位8台が進出するQ2へ。SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車はスーパーGT参戦初年度の河野駿佑がアタックするも12番手でQ2進出はなりませんでした。
Q1のB組では、今季よりSUPER GTに参戦しているたかのこの湯 RC F GT3 244号車の三宅淳詞が、残り3分ほどの時点でトップタイムをマーク。その後、1台に上回られましたが、2番手で、前戦に続きQ2進出を決めました。ベテラン織戸学がアタックしたTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 30号車は4番手。前戦、代替ドライバーとしてGT500クラスデビューを果たした阪口晴南はレギュラーのK-tunes RC F GT3 96号車に戻り、5番手タイムをマークしてQ2へと歩を進めました。堤がアタックした35号車は10番手でQ1敗退。
Q2では、まず久保がアタックした244号車がトップタイムをマークしますが、ライバルが塗り替え、さらに31号車の嵯峨宏紀が上回ってトップに立つという、目まぐるしくトップが入れ替わる展開に。最後に、31号車嵯峨のタイムが他車により更新されたかと思われましたが、その車両は走路外走行によりタイムが抹消され、31号車のトップが確定。嵯峨にとっては2015年最終戦以来、そしてプリウスPHVにとっては初となるポールポジションを獲得しました。244号車は4番手となり、デビュー3戦目にして2列目という好グリッドを確保。吉田広樹がアタックした52号車は5番手、新田守男の96号車は12番手、永井宏明の30号車が16番手グリッドから決勝レースに臨むこととなりました。
決勝
23日(日)は天候が崩れるという予報もありましたが、明けてみれば朝から真夏の日差しが照らし、気温も前日までと同様に上昇。午後1時、気温32度、路面温度48度のコンディションの下、52周で争われる決勝レースのスタートが切られました。
上位勢はほぼ順位変動がないまま1周目を進めていきましたが、GT300クラスの30号車がダンロップコーナーでコースオフし、タイヤバリアにクラッシュ。スタートしてすぐにセーフティカーが導入されました。
5周目に再スタートが切られると、この周、3位につけていた38号車の立川が見事なパッシングを見せ2位へと浮上。9周目あたりからGT300クラスの集団が現れ始めると、38号車は首位との差をどんどん詰めていき、首位争いを展開。11周目の最終シケイン進入ではトップと並びかけましたが接触を喫しコースオフ。しかしすぐに復帰し、その後も激しい首位争いを繰り広げました。
その後方では、44kgのウェイトハンデを負いながら健闘を見せた大嶋の14号車が4位をキープ。そして今季ようやくGT戦に復帰できたコバライネンが、9番手スタートから見事な走りで5位へとポジションを上げました。
17周目、コース上に他車の大きな部品が落下し、2度目のセーフティカーが導入。5周のセーフティカーランの後に再スタートが切られましたが、その直前に3位につけていた38号車がスローダウン。38号車はトランスミッションのトラブルに見舞われており、そのままピットイン。無念の戦線離脱を余儀なくされてしまいました。
レースは折り返しに近い周回を迎えており、この再スタートから各チーム続々とピットインしてのドライバー交代を行いました。セーフティカーラン直後で各車の差が縮まっていたこともあり、ピット作業で順位が大きく入れ替わり、全車がピットを終えた時点でGRスープラ勢の最上位は3位の39号車。そして36号車が重いウェイトハンデにもかかわらず5位へと浮上しました。
29周目には接触からコースオフした車両により3度目のセーフティカーが導入。34周目、残り18周で再スタートとなりました。GRスープラ勢の最上位3位につけ、さらに上位を伺う好走を見せていた中山雄一の39号車でしたが、36周目のヘアピンで後続から接触されスピン。すぐに復帰したものの、5位へとポジションダウン。
これによって36号車が3位へとポジションアップ。12番手スタートから、最大のハンデを負いながらも巧みな走りで、終盤にGRスープラ勢の最上位へと浮上して見せました。
その後も各所で接触などが発生する文字通り熱いレースが最後まで続きましたが、GT500上位勢の順位は変わらず、36号車が3位でチェッカー。関口/フェネストラズ組は3戦連続の表彰台獲得となり、首位につけるドライバーズランキングでは2位以下との差を大きく広げることとなりました。
好走を見せながら不運なアクシデントに泣いた39号車は5位。ランキング2位でウェイトハンデに苦しんだ37号車はそれでも7位に入りました。前半トップ5圏内につけるも、ピットで順位を落とした14号車は9位、19号車が10位でチェッカーを受け、波乱のレースでGRスープラ勢は5台がポイント獲得を果たしました。
GT300クラスでは、ポールポジションの31号車が順当なスタートを切り首位をキープ。一方でチームメイトの30号車が1周目に他車と接触しクラッシュ。セーフティカー導入のきっかけとなってしまいました。
セーフティカーランからの再スタート直後に、4番手スタートの244号車を5番手スタートの52号車がパス。その後上位は大きな順位変動なく周回を重ねました。しかし、レース中盤を前に2度目のセーフティカーが導入されたことで、築いてきたマージンが帳消しになったところで各車ピットイン。上位につけていた31号車はタイヤ無交換などの作戦を採ったライバル勢に逆転を許すこととなってしまいました。
28周目、好走を見せていた244号車がバトルの中で接触。244号車は走行を続けましたが、接触した車両がコースオフし3度目のセーフティカーが導入。再スタート後、244号車はトップ10が狙える位置につけていましたが、接触によるドライブスルーペナルティを受け、大きく順位を落とすこととなってしまいました。
GT300クラスはファイナルラップまで上位勢が接触やコースオフを喫する大荒れのレースとなりましたが、そんな中、トラブルに苦しめられながらも走り切った31号車が7位でフィニッシュ。52号車が12位、35号車が15位、60号車が17位、244号車が20位でチェッカーを受けました。
ドライバーコメント
au TOM’S GR Supra 36号車 ドライバー 関口雄飛
「今日は12位からのスタートだったので、正直ここまで上がれるとは思わなかったんですが、クルマも好調で、サッシャも抜いてくれたし、ピットストップも速かったし、ピットのタイミングも、戦略も合ってたし、セッティング自体も良かったし、と全てがかみ合って、狙った以上の結果になったんだと思います。前での接触が無ければ5位だったはずですし、全てがいい方向に行ったんでしょう。次戦はさらに重くなるんで厳しいですが、今日みたいなこともあると思うので、諦めずに、引き続き1ポイントでも多く取ることを目標にやっていきます」
au TOM’S GR Supra 36号車 ドライバー サッシャ・フェネストラズ
「信じられないような結果です。表彰台に上れるなんて考えてもいませんでした。60kgというハンデは非常に厳しく、私自身にとってGT500車両で初の鈴鹿ということもあり、6位とか8位でフィニッシュできたら優勝も同然くらいに考えていたので、3位というのは上出来です。トヨタ、そしてチームに感謝します。雄飛も素晴らしい仕事をしてくれました。私自身のスティントにも満足しています。今日はとても良いレースができました。もちろん、次のレースはさらに難しくなると思いますが、頑張ります」
from TOYOTA GAZOO Racing 2020スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート
コメント
コメントを投稿