TGR TEAM ZENT CERUMO 2020スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝レポート

2020 AUTOBACS SUPER GT Report

FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE
第3戦 鈴鹿サーキット

ZENT GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明

◆8月23日(日) RACE
決勝結果 リタイア

 予選3番手としっかりと戦える手ごたえを得て、待望の好結果へ向けて8月23日(日)の決勝日を迎えたTGR TEAM ZENT CERUMO。この日も気温32℃、路面温度48℃といううだるような真夏の日射しのなか、SUPER GT第3戦の決勝レースのときを迎えた。

 前日好感触を得たZENT GR Supraだったが、チームは決勝に向けてさらなる味付けをほどこし、レース前のウォームアップ走行に臨んだ。ただ、ステアリングを握った立川はあまりいいフィーリングを受けることができなかった。とはいえ、その的確なインフォメーションに基づき、レーススタートまでのわずかな時間に、チームはZENT GR Supraにさらなるセットアップを行い、午後1時からの決勝スタートのときを迎えた。

 スタートドライバーを務めるのは立川。直後の1コーナーを3番手で通過し、早くもトップを走る#64 NSX-GT、2番手の#23 GT-Rに接近していく。しかし後方ではGT300クラスの競り合いのなかでアクシデントが発生。オープニングラップにセーフティカーが導入されてしまう。

 レースは5周目にリスタートが切られるが、立川は前を走る#23 GT-Rに狙いを定めると、5周目の日立オートモティブシステムズシケインでズバリとインを差し、2番手に浮上。さらにトップの#64 NSX-GTに接近していった。

 予選まで抜群のスピードをみせていた#64 NSX-GTのペースがどれほどのものなのか、事前には予想がしづらい面もあったが、11周目、#64 NSX-GTとZENT GR Supra、さらに3番手の#23 GT-Rが急速に接近していく。立川にとっては千載一遇のチャンス。11周目の日立オートモティブシステムズシケインで今度はアウトにZENT GR Supraを振り、トップ浮上を試みた。

 しかし、#64 NSX-GTとわずかに接触があったか、立川はたまらずグリーンに飛び出してしまう。とはいえこのグリーンはそのまま抜けるものができるもので、ZENT GR Supraは直進すると、ダメージもなく#64 NSX-GTの前でコースに復帰した。ただ、コースをショートカットしている状況であるため、チームからは無線に#64 NSX-GTの後方にマシンを戻すよう指示が飛ぶ。

 これでバトルは仕切り直し。12周目には#64 NSX-GTがシケインで白煙を上げ、ふたたびZENT GR Supraが接近することができたが、今度はGT300クラスの集団がGT500クラスのトップ争いの前に現れる。混戦のなか、13周目のNISSINブレーキヘアピンで、GT300マシンに詰まった立川を#23 GT-Rがオーバーテイクしていった。

 とはいえ、この状況は逆もまたあり得る。15周目には混戦のなか、ダンロップコーナーで立川は#23 GT-Rとともに#64 NSX-GTをオーバーテイクしふたたび2番手に浮上。さらに立川の背後にいたWAKO’S 4CR GR Supraもこれをかわしていく。僚友WAKO’S 4CR GR Supraとともに追撃の姿勢をとったかに思われたZENT GR Supraだったが、今度はペースに優る#100 NSX-GTが後方から迫ると、16周目、2台に襲いかかってきた。

 そんな16周目、ZENT GR Supraに突如として異変が襲う。ヘアピンの立ち上がりで、2速ギアが入らなくなってしまったのだ。しかも折悪く、17周目にはバックストレートに他車のパーツが飛散し、2回目のセーフティカーが導入されてしまう。レーシングスピードに上げられず、ミッションの状況を確認することもできない。立川は無線でピットと盛んに交信しながら、状況確認を行った。

 この状況ではピットに入らざるを得ないが、セーフティカー中はピットインは不可能。さらにドライバー交代が可能な周回数も近づいてくる。レースが続行できる可能性も視野に入れ、チームはスタンバイを終えた石浦宏明に状況を説明。23周目のリスタートのときを迎えた。

 しかし、バックストレートでセーフティカー解除に向け加速するはずが、ZENT GR Supraのスピードは上がらない。立川がパドルシフトを操作しても、反応しないのだ。優勝を争えるポテンシャルはもっていたはずが、無念のリタイアを決断せざるを得ない状況になってしまった。

 立川はZENT GR Supraをピットに戻すと、悔しい表情でマシンを下りた。第4戦からは、もう勝ちにいくしかない。TGR TEAM ZENT CERUMOは3週間後の第4戦もてぎでの逆襲を誓った。

ZENT GR Supra
ZENT GR Supra
ZENT GR Supraと立川祐路、石浦宏明、トヨタ自動車豊田章男社長、豊田大輔氏
ZENT GR Supraと立川祐路、石浦宏明、トヨタ自動車豊田章男社長、豊田大輔氏

ドライバー/立川祐路
「ひさびさに戦える手ごたえを得たレースで、序盤から雰囲気も良く、自分としても自信をもってレースを進めることができました。優勝を争える確信があっただけに、こういう結果に終わってしまったのは本当に残念です。まだ原因が分かりませんが、突然ミッションが壊れてしまった状況でしたね。正直、今回こそ……という手ごたえがあったレースだけに、ショックでした。まずは一度気持ちを切り替えて第4戦に挑みたいと思っています。とにかく勝つことを目指して頑張っていきたいです」

ドライバー/石浦宏明
「レース序盤から立川選手らしい走りをみせてくれて、フィーリングも良さそうでしたので、十分優勝を争えるポテンシャルがあると思っていました。また今季、GT300で新しいドライバーも参戦していたりして、ふだん以上に危険も多いレースとなっていましたが、そのなかでも戦えるパフォーマンスはあると思っていました。セーフティカー前に、2速が入らないという連絡が入りましたが、2速がない状態で、しかもパドルシフトですので、飛ばしシフトもできません。リタイアを決断せざるを得ませんでした。今回ポイントが獲れなかったので、次戦以降勝ちを狙うしかないと気持ちを切り替えています。ミスがあったわけではないと思いますので、チーム全員で前を向くことが大事だと思っています」

村田淳一監督
「ファンの皆さん、応援してくださる皆さんに申し訳ないレースとなってしまいました。序盤は立川選手のペースも良く、GT300の処理等で前にいかれることはあったものの、タイヤもセーブできていましたし、ライバルたちの前に出られるペースもあったと思います。それだけに残念ですね。またセーフティカーが入る直前のヘアピンで加速中に2速を失ってしまい、レーシングスピードではないので状況も分からないなかで、チームとしてもなんとか走って欲しいと続けましたが、結果的にSC明けに渋滞を作ってしまい、14号車をはじめ他の車両には申し訳ないことをしてしまいました。今後こういうことが起きたときの対処を考えなければいけません」

立川祐路と石浦宏明
立川祐路と石浦宏明


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