2020年スーパーGT第2戦富士の決勝レースで実質GT500デビューを飾ったカルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴。チームとしては残念な結果になってしまったが、決勝レースを戦い終えた平峰の声は少しの悔しさをにじませながらも、初めての決勝レースで演じた元チームメイトとのバトルと今日一番のサプライズを話してくれた。
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3週間前に富士で行われた開幕戦ではオープニングラップでクラッシュを喫してしまい、第2スティントをドライブする予定だった平峰がレースでステアリングを握ることはなかった。その悔しさもあってか、「みんなと戦いたい」と人一倍、第2戦にかける意気込みは強く、気合十分で決勝日を迎えた。
今回の第2戦ではニッサンGT-R勢ではトップの4番グリッドにつけていたカルソニック IMPUL GT-R。チームは開幕戦と異なりスタートに平峰を起用した。すぐ後ろには同じニッサン勢のMOTUL AUTECH GT-Rがいるとはいえ、前も後ろもトヨタGRスープラ勢と、ホンダNSX-GT勢に囲まれている。
「とにかく、前とも後ろともバチバチにやりたいと思っていました。でも、スープラは速いし、確実に(6番手スタートの)au TOM’S GRスープラは来ると思っていたので、そこをどれだけ抑えられるかが僕の仕事でしたね」
平峰が注視していたというau TOM’S GRスープラの第1スティントを担当していたのは、同じGT500ルーキーのサッシャ・フェネストラズで、ふたりは昨年ともにリアライズ日産自動車大学校 GT-RでGT300クラスを戦った元チームメイト。その頃とマシンもチームも違うとはいえ、コース上でサッシャの“クセ”を一番理解しているのは平峰だ。
「au TOM’S GRスープラをドライブしているのがサッシャっていうのはもちろん最初から分かっていました。彼の特徴は大体分かっているし、たとえ抜かれたとしてもついていけばいいと思ってましたね。元チームメイトとバトルするのは面白かったですよ」
その言葉通り、平峰は自身の仕事をやり遂げたと言えるだろう。オープニングラップでポジションをひとつ上げると、8周目から23周目までの15周あまりサッシャを抑え込んで見せた。抜かれてからもピットに入るまできっちりとau TOM’S GRスープラの後方を守ってついて行った平峰は、初めてのGT500デビューレースで自身の仕事をきっちりとやり終えた。
そしてもうひとつ、GT500の決勝レース自体が初めてだった平峰にとって、GT300クラスをかわしながらのバトルも初体験。昨年までは抜かれる立場だったが、今年からは抜く立場になりコース上で出会ったGT300クラスの集団の多さに驚きが隠せなかったという。
「公式練習で一緒に走っているとはいえ、レースはまったく違いました。『なんやこれ︎』と(笑)。今回のレースで一番のサプライズはBコーナーでGT300の集団に追いついたときでしたね」
「富士でこれほどなら、他のサーキットに行ったらもっと大変だと思います。そこはこれからの課題ですね。あと、昨年までGT300で走っていたときは、『GT500なんか関係ない』って抑えまくって走っていたけど、今回、逆の立場になってみてすごく申し訳なかったなと、反省しました(苦笑)」
2クラス混走というスーパーGTならではのルールをこれまでと違う立場で経験し、GT500の難しさを肌で感じた平峰。リザルト的にはペナルティにより順位が落ちてしまったものの、これからGT500クラスで戦っていく上で大切なことを得たはずだ。
第3戦鈴鹿ラウンドはわずか2週間後。ついに本当の意味で“GT500デビュー”を果たした平峰が今後どんな走りを見せるのか。トークと同じテンポのいい走りでGT500をかき乱し、盛り上げてくれることを期待したい。
from 「なんやこれ⁉︎」“GT500デビュー”を果たした平峰がコース上で出会った初体験【スーパーGT第2戦富士決勝】
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