【国内トップドライバーオフインタビュー平手晃平】本山哲も参加したYouTubeが大人気。「2020年型GT-Rはマイルド」と好感触

 先日、スーパーGTのレース再開がアナウンスされ、国内レースがいよいよ動き始める。約2カ月間におよぶ“おうち時間”を国内のトップドライバーたちはどのように過ごしていたのか。普段の生活の様子やトレーニング事情、そして来月に控えた開幕戦に向けての意気込みについてリモート取材を行った。

 第6回は、スーパーGT GT500クラスで2度のタイトル獲得経験を持ち、今年、ニッサン陣営から2年目の参戦を迎える平手晃平だ。

※ ※ ※

Q:3月の岡山テスト以降、どのような生活をしていましたか?
平手晃平選手(以下:平手):
外出は控えて、ニスモから送られてくるトレーニングメニューを自宅で行ったり、できるだけ人がいる場所は避けてランニングをしたりしていました。

Q:自宅でのトレーニングはどのようなメニューですか?
平手:
体幹トレーニングがメインです。レーサーとして必要な基礎的な部分は若いころに作っていて、僕ぐらいの年齢になるとスーパーGTで戦うための筋力は十分足りています。いまは長時間のドライブに耐えられるように持久度を高く保つためのメニューをしています。

Q:トレーニングの内容はオフシーズンとシーズン中で変わりますよね?
平手:
オフシーズンはシーズン中にはやらないようなメニューで自分の体を体力の限界まで追い込みます。「こんなことキツくてやってられん!」というくらい追い込むとシーズン中はだいたいのことを耐え凌げられますね(笑)。

Q:シミュレーターをトレーニングに使用しているドライバーもいますが、平手選手は取り入れていますか?
平手:
僕はシミュレーターをメインにしたトレーニングは行っていません。2019年はレース前にサーキットを予習しておいたり、ドライブ中のアイポイントにクセがあるので、修正点やアドバイスなどをもらうために活用はしていました。シミュレーターをプレイしない代わりに、過去のレースのオンボード映像などを見てイメージトレーニングはしています。過去の映像を見て、いいライン取りやいいアタックができたときの周などを忘れないように頭にインプットしている感じです。

Q:平手選手がYouTubeチャンネルを始めたきっかけを教えてください。
平手:
もともと、今年の開幕戦までにYouTubeには力を入れていこうと決めていました。結果としてこの自粛期間に始まってしまいましたが、いろんな層のファンの方にモータースポーツやスーパーGTのことを知ってほしいと思ったことがきっかけです。

Q:YouTubeを始めてから苦労したことはありましたか?
平手:
新型コロナウイルスの影響で外でできることに制限があり、どうやってオンラインでうまく面白さを伝えていくのか、自分らしいところをどう見せようかなどの難しさはありました。

Q:平手選手のYouTubeチャンネルを見ましたが、本山哲さんが出演されている動画には驚きました。
平手:
過去のレースを振り返る企画を考えていたときに、僕が2019年にニッサンに移籍した縁もあり、本山選手を呼んでみようという話になりました。ですが、そもそも本山選手とちゃんと話すようになってからまだ日が浅いですし、そんな大大大先輩をYouTube動画に呼ぶなんてどうなのかな? とは思いましたね(苦笑)。でも、本山選手もこんな状況のなかで、少しでもモータースポーツファンの人に喜んで欲しいという思いもあったので「協力するよ」と、本当に快くオファーを受けてくださいました。

Q:今後はどのような企画を考えていますか?
平手:
いまはレースロスになってしまっているGTファンの人に向けて、YouTubeを使って何かを届けられたらと思っています。この自粛期間が終わって、シーズンが始まればレースのことをアップしていこうと思っています。じつはもうひとつ仕込んであるので、公開まで楽しみに待っていて下さい!

2020年のスーパーGTを戦うCRAFTSPORTS MOTUL GT-R
2020年のスーパーGTを戦うCRAFTSPORTS MOTUL GT-R

■平手晃平とCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが昨年以上の好成績を狙える理由

Q:3月の岡山公式テストでの感触を教えてください。
平手:
今シーズンは車両の開発がいい方向に進んでいて、セパンテストのころから去年のクルマに比べてレベルが上ったと感じていました。タイヤ開発もうまく進んでいますし、昨年以上に良い結果を望めそうだなという手応えは感じています。

Q:2019年マシンと2020年マシンの変化はどう感じていますか?
平手:
2019年マシンはコースコンディションに対してすごくピーキーな部分がありました。コンディションがハマればすごく速いのですが、やはりスーパーGTではコンディションが刻々と変化するので、そういう意味ではスイートスポットが狭かった。2020年マシンでは昨年と比べて少しマイルドというか、ピーキーさが減って乗りやすくなり、スイートスポットが少し広がったので、ドライバーがコントロールしやすくなりましたね。

Q:スーパーGT用のミシュランタイヤは普段フランスで作って空輸していますが、新型コロナウイルスの影響は心配ですよね?
平手:
いざ開幕してもタイヤがなかったら問題なので僕もそこを一番心配していました(苦笑)。でも、ミシュラン側もスーパーGTにかける想いが強く、スーパーGTのタイヤを優先で作ってくれるということなので大丈夫です。

Q:6月末のテストの日程と7月からのシーズンスケジュールが発表されて、チームもいよいよ動き始めますね。
平手:
ずっとオンラインで話をしていましたが、緊急事態宣言が解除されたので先日B-Maxには行きました。そこでタイヤの話などをしてきたばかりです。公にはできない部分もありますが、ようやく開幕に向けて少しづつ動き始めたという感じです。

東京オートサロンでの体制発表会での平手と千代、NDDP RACING with B-MAXの田中利和監督
東京オートサロンでの体制発表会での平手と千代、NDDP RACING with B-MAXの田中利和監督

Q:平手選手から見て、今年から新しくチームメイトになる千代勝正選手はどんなドライバーですか?
平手:
だいぶ天然キャラですね(笑)。すごく人当たりもいいです。コンビを組む前からドライビングスタイルについての噂を聞いてはいましたが、話したことはなかったので、どんなドライビングをするのかいろいろな人に話を聞いていました。なかには「GT3慣れしたドライビングをする」というコメントも聞いていたのですが、もともとGT500の経験があるドライバーですし、セパンテストではかなりアジャストしていました。ドライビングスタイルの大きな違いはないですし、シートポジションも同じくらいで、すごく良いコンビネーションだと思います。

Q:今季はどんなシーズンにしたいですか?
平手:
昨シーズンはニッサン勢で唯一優勝できたのですが、GT-Rとしては悔しい、苦しいシーズンを送っていました。今シーズンは新しいパートナーと新型マシンでかなり期待を持てる状況ですし、GT-Rがチャンピオンから遠ざかっているのでチャンピオンシップ争いに食い込んで獲得できるように頑張っていきたいと思います。

Q:ファンのみなさんも平手選手の活躍とレースの開幕を待っています。
平手:
今のところ開幕4戦に関しては無観客での開催になりますが、僕らが走っている姿をファンのみなさんも楽しみにしていると思います。GT-Rファンからは“早くタイトルを”という想いがあると思いますし、新しいパートナーの千代選手と今年組むことになるので、とにかくみなさんの期待以上の走りができるように着々と準備を進めています。なのでシーズンが開幕したら一日も早くいい走りをして、みなさんに笑顔を届けられるように頑張りたいと思います!

※ ※ ※

 SNSでは多くの情報発信をとともに、ファンのコメントにも返信や「いいね!」をするなどフレンドリーな姿勢が多くのファンから愛されている平手晃平。今回の自粛期間に本格的に取り組み始めたYouTubeを通じて、今後はモータースポーツの魅力をあらゆる形で広めてくれるだろう。

 昨年、ニッサン陣営は全総監督、監督、エンジニア、ドライバーを含めたソフト面に大きなテコ入れを図ったが、平手のニッサン陣営入りはその大きな改革のひとつだった。今季は新たなチームメイトの千代勝正を迎え入れ、昨年のニッサン陣営唯一の優勝に次ぐ好成績が求められる年になる。果たして、どんな戦いを見せてくれるのだろう。

レクサス陣営からGT300を経てニッサンに移籍した平手は、1年のブランクがあることもあり、当初は不安だったという。だが昨年末のオーディションで、ウエットのなかそこそこのタイムを出せたことで自信になったという。今回で8勝目だが、「この勝利は重い」と語る。
レクサス陣営からGT300を経てニッサンに移籍した平手は、1年のブランクがあることもあり、当初は不安だったという。だが昨年末のオーディションで、ウエットのなかそこそこのタイムを出せたことで自信になったという。今回で8勝目だが、「この勝利は重い」と語る。
シェイクダウンとなったCRAFTSPORTS MOTUL GT-R
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