中嶋大祐が突然の引退宣言「何年か前から考えていたこと」。今後は「別の分野」の仕事に

 11月24日、富士スピードウェイで行われている『AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦』のレース2予選後、トップタイムをマークしたMOTUL MUGEN NSX-GTの中嶋大祐がJ SPORTSのインタビューのなかで「ちょうど良い機会なのでご報告しますと、今日、最後のレースなるんです。僕はもうレースを走りません」と引退を宣言した。

 日本人初のフルタイムF1ドライバーである中嶋悟氏の次男である大祐は、全日本F3選手権を経てイギリスF3に挑戦。2011年に帰国するとフォーミュラ・ニッポンに参戦を開始するとともに、スーパーGT GT500クラスやGT300クラスで活躍してきた。

 そんな大祐が、予選トップタイムをマークしたスーパーGT×DTM特別交流戦のレース2予選終了後、J SPORTSのインタビューに対して、「ちょうど良い機会なのでご報告しますと、今日、最後のレースになるんです。僕はもうレースを走りません。そういう気持ちで、いつも一生懸命走っていますけど、より一生懸命頑張ります」と突如として引退を宣言した。GT500クラスからの引退……というわけではない。レーシングドライバーとしての引退であり、「レース業界からも卒業します。これからは、まったく違う分野でと考えています」という。

「いつ言おうか……と思っていたんです。大した成績も残していないのにレース前に言うのもなんだし、レース後にSNSで言えばいいかな……と思っていたんです。でも、応援してくれているファンの皆さんに対しては失礼かな、とは思ってはいたのですが、ちょうど予選トップをとったのでインタビューが来て『ちょうどいいな』と(笑)」と大祐。

「人生設計として、何年か前から考えていたことではあるんです。僕はまだまだこれから自分を成長させていく段階だと思っています。このことはホンダさんや関係者の方には数か月前から事前に相談させていただいていましたので、突然決めたことではないことをご理解頂ければと思います」

 とはいえ大祐はまだ30歳。レーシングドライバーとしてはまだ10年以上は活躍できるはずだ。スーパーGTだけでなくとも、たくさんのフィールドがあるはず。しかし大祐は「ドライバーとしては、結果だけを見たら何もできていないです」という。

「でもドライバーとしてはいつもベストを尽くしてきたし、生意気かもしれないですけれど、ここまで結果以上に、自分がドライブして残したものはあると思っています。だから、ドライバーとしてやり残したというものは一切ありません」

「今回こういう特別なレースで、なんとか最後にいいところを見せたいな、という気持ちはもちろんありました。今回こうして、予選トップタイムを出すことができて、非常にうれしいです」

 大祐の言葉にもあるとおり、チームメイトをはじめ近しい仲間たちにはこの“引退”は知らされていたという。

「本人から10月に入ったあたりで話を聞きました。そこからは彼との時間を大切にしようと思いましたし、よりよい関係を築くことができたと思います。彼は人間としてもすごくいい人なので、彼から学べるものは全部吸収しようと思って過ごしてきました」というのはチームメイトの武藤英紀。

「今回、僕が大きなクラッシュをしてしまってクルマは大破してしまいましたけど、それまでのクルマのセットアップはすごく調子がよかった。昨日は僕も走行できる状態じゃないかなと思ったんですが、チームとも最後のレースとなる大祐のためにもデータがあった方がいいですし、彼のためになんとか反映させてもらいたいという思いで走りました」

 そんな武藤のデータを活かし、5グリッド降格となるものの予選トップタイムを記録した大祐。「グリッド降格になりますけど、それも僕にとってはちょうどいい。恥ずかしながらトップからのスタートは最近していませんし(苦笑)、逆に自分に風が来ているなと感じています」

「最後も自分のベストを尽くして、悔いがないレースをしたいです」と大祐は締めくくった。

スーパーGT×DTM特別交流戦のレース2予選でトップタイムをマークした中嶋大祐とTEAM MUGEN中野信治監督。
スーパーGT×DTM特別交流戦のレース2予選でトップタイムをマークした中嶋大祐とTEAM MUGEN中野信治監督。
MOTUL MUGEN NSX-GT
MOTUL MUGEN NSX-GT


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