GT300クラスに参戦するJAF-GTや、GT300マザーシャシー、FIA-GT3カー、スーパー耐久や鈴鹿10時間耐久などで活躍したマシンによるスーパーGT×DTM特別交流戦の併催イベント、『auto sport web Sprint Cup』の決勝レース2が11月24日(日)に開催され、上位6台のリバースグリッドを採用した富士スピードウェイでのバトルを制し、LMcorsa RC F GT3の吉本大樹/宮田莉朋組が連勝を飾っている。
ふだんのスーパーGTとは異なる面々、レースフォーマットで争われているauto sport web Sprint Cup。レース2に向けたグリッドについても、今大会ならではの方式が採用され、土曜レース1暫定表彰式で抽選が行われた。
その結果、レース1トップ6台はレース2をリバースグリッドから出走することが決まった。これによりレース1勝者LMcorsa RC F GT3は6番グリッドからのスタートとなり、リバースポールにはBH AUCTION CORVETTE GT3がつけ、2番手にLMcorsa Ferrari 488 GT3が並ぶ形となった。
この50分のスプリントレースでは、スタート時刻から20~30分後の間にドライバー交代が義務付けられ、ピットロード入り口から出口までの通過時間は70秒以上、ジャッキアップした際は+30秒、給油は禁止とする独自のフォーマットが採用されている。
早朝に路面を濡らしていた雨は11時35分のスタート時点で上がっており、トラックはドライのレコードライン以外は濡れた黒い路面が残るコンディションも、気温20度、路面温度22度で上空に雲はなし。昨日のようなギャンブル要素はなく、ファーストスティントからドライタイヤでの勝負となった。
フォーメーションラップを経て全開で1コーナーへと向かった12台は、ポールのコルベットC7 GT3-Rに乗る笹原右京がホールショット。そのまま後続をぐんぐん引き離しにかかる。
後方ではSYNTIUM RC F GT3の吉本大樹と9番手スタートのRUNUP RIVAUX GT-R、青木孝行がコカ・コーラ・コーナーのインを奪い合う4位争いを展開。そのアウト側では埼玉トヨペットGB マークX MCの脇阪薫一がコースを外れワイドランを喫し、10番手まで大きくポジションダウンしてしまう。
オープニングラップですでに7.280秒ものギャップを築いたコルベット笹原が逃げるなか、SYNTIUM RC Fの吉本もグリップ発動の早いダンロップタイヤの特性を活かして上位進出をはかると、1コーナーで30号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを、続くダンロップ・コーナーでLMcorsa Ferrari 488 GT3を仕留めて早くも2番手に浮上する。
その吉本に追いすがったのはやはりGT-Rの青木で、3周目の1コーナーで4番手に上がると、5周目にはSYNTIUM RC Fの1.7秒後方へ。さらにその後ろからは7番手スタートHOPPY 86 MC佐藤公哉も続き、6周目のヘアピンでは4番手Ferrari 488のインを奪う。
するとこのバトルでクロスラインを狙ったFerrari 488の菅波冬悟は、イン側へ巻き込むように単独スピン。大きくポジションを落としてしまう。
その上位勢による序盤戦の攻防劇の背後では、最後尾からの追い上げを期したPlanex スマカメ マクラーレン720Sが、トラブルによるスローダウンで6周目にピットへ。MaxRacing RC F GT3のGO MAXも反則スタートのペナルティを取られ、5周目にドライブスルーを消化していく。
ピットウインドウのオープン時刻の11時58分12秒を前に、首位を行くコルベット笹原と2番手SYNTIUM RC F吉本とのギャップは13秒前後まで拡大。そのSYNTIUM RC Fの背後にはRUNUP GT-R、HOPPY 86がピタリと追走する展開となる。
中団にいた30号車プリウス、Ferrari 488、そして前日のレースを湧かせた植毛GO&FUN GT-Rがミニマムでピットへと向かい、各車ともタイヤ交換をせず70秒でピットアウト。続く周回で上位勢の先陣を切ってHOPPY 86が入ってくる。
すると翌ラップで反応したLMcorsa RC Fとピットロード出口での勝負となり、ステアリングを引き継いだSYNTIUM RC F宮田莉朋の背後にHOPPY 86松井孝允がピタリとロックオン。しかしHOPPY 86は、なんと70秒のピット滞留時間が足りず、無念のペナルティストップ1秒が課されてしまう。
2周後に埼玉トヨペットGB マークX MCが、そして18周目突入のところで首位のBH AUCTION CORVETTE GT3と2番手RUNUP RIVAUX GT-Rが最後にルーティンを済ませると、コース上に復帰したコルベットの武井真司に対し、SYNTIUM RC F宮田がみるみる距離を詰めていく。
タイヤ無交換同士で冷間時のような苦しさはないものの、勢いに勝る宮田は19周目のセクター1でテール・トゥ・ノーズに持ち込むと、100Rのインをコンパクトに回ってヘアピンのアウトからコルベットに並び掛け、立ち上がりで前に出て一気に首位浮上を果たす。
そのまま1.471秒のマージンを築いて逃げを図る背後では、3番手争いも同じヘアピンでポジションが入れ替わり、埼玉トヨペットGB マークX MCの吉田広樹がRUNUP GT-R田中篤をかわして3番手となる。
1分43秒台でラップを重ねる2番手武井のコルベットに対し、1分40秒台で迫る吉田のマークXは、23周目には追走状態に突入。最終コーナーのインにマシンを差し込んだ吉田は、そのまま武井と並走でホームストレートを通過すると、続く1コーナーのブレーキングでレコードラインを確保し、そのまま2番手を奪取していく。
また、6位争いでもその前周、同じ最終コーナーで488 GT3をドライブする全日本F3ドライバー兼“RSファインのデータエンジニア”こと河野駿佑が、31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを仕留めると、24周目には5番手の30号車にも襲い掛かり数周にわたって織戸学とのバトルを展開。そのままRUNUP GT-Rをそろって抜き去り、4位争いとするなど生きのいい走りを披露する。
レースは残り3分となったところで首位のRC F宮田は14秒ものギャップを構築し、2番手埼玉トヨペットGB マークX MC、3番手BH AUCTION CORVETTE GT3に対してセーフティマージンを築き余裕のクルージング。
フィニッシュの50分まで残りあと数秒のところでコントロールラインを通過したSYNTIUM LMcorsa RC F GT3により、ファイナルラップとなった30周目。その1コーナーでインサイドを奪ったFerrari 488の河野がついに織戸を攻略し、4位でチェッカー。織戸にとっては悔しい“残りあと1周”となった。
これで勝利を飾ったLMcorsa RC F GT3、吉本大樹/宮田莉朋組は『auto sport web Sprint Cup』を完全制覇。2位に埼玉トヨペットGB マークX MC、3位にBH AUCTION CORVETTE GT3というトップ3に。
これが最後の実戦で“ラストラン”となったHOPPY 86 MCは8位でフィニッシュ。最後はMaxRacing RC F GT3に乗る土屋武士とも並走し、ファンの声援に手を振って応えてその役目を終えることとなった。
from auto sport web Sprint Cup:SYNTIUM RC Fが独走2連勝。“ラストラン”HOPPY 86は8位チェッカー
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