12年ぶりのワークス復活で圧倒的な強さを発揮した『アウディA4 DTM』/DTMを歴代名車で振りかえる

 ついに今週末11月23~24日に、富士スピードウェイで開幕する“ドリームレース”、DTMドイツ・ツーリングカー選手権のマシンが日本に飛来して、同じ“Class 1”規定のスーパーGTのマシンと対決するスーパーGT×DTM特別交流戦。すでに走行セッションが開始され盛り上がりを見せているが、今回はそのタイミングに合わせ日本のGT500勢と対峙するDTMマシンに注目する。

 海の向こうのハコレース最高峰、そこには紆余曲折を経ながらも35年近い歴史があったのだった。ここでは現在発売中の雑誌『新旧DTMマシンのすべて』に収められている車両解説記事から3台をピックアップしてお届けする。

 全3回のうちラストを飾る第三弾は2000年に再始動したDTMにあって、8シーズンの間に5度のチャンピオンを獲得するなど圧倒的な強さを誇った歴史的な一台、『アウディA4 DTM』だ。

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 2004年、それまでル・マン24時間を中心とした耐久レースでワークス活動をしていたアウディが、DTMでのワークス活動を12年ぶりに再開。ベース車両は、それまでアプトが使用していたTTではなく3代目(B7系)A4の4ドアセダンとした。これはアウディ、メルセデス、オペルの参戦3メーカーが車両を4ドアセダンに統一したためである。

 エンジンはアウディ製ニール・ブラウンチューンの4リッターV8で最高出力は466hpを発揮し、Xトラックの6速シーケンシャルミッションを搭載した。2004年はアプトとヨーストの2チームに計6台を投入。

 イタリアで開催された第3戦でマティアス・エクストロームが初優勝を遂げると、シーズン4勝を挙げてドライバーズタイトルを獲得。またアプト・スポーツラインがチームタイトル、マニュファクチャラーもアウディが初戴冠となった。

アップデートを受けたアプトの2005年モデル
アップデートを受けたアプトの2005年モデル
同じくアプトの2005年モデル。独自の空力思想を体現したエアロが特徴
同じくアプトの2005年モデル。独自の空力思想を体現したエアロが特徴

 2005年は2チームに計8台を投入するも3勝にとどまりタイトルには届かず。2006年はオペルが撤退しメルセデスとの2メーカーになったが、アプト、フェニックス、ロズベルグ、TMEの4チームに10台を投入(最新モデルはアプトの4台のみ)。トム・クリステンセンの2勝を含む計4勝を挙げたが、タイトルは奪えなかった。

 2007年も前年同様の参戦で、マーティン・トムチェクの2勝を含む3勝を挙げ、開幕戦を制したエクストローム、そしてアプトが2度目の戴冠となった。

 2008年はアプトの4台のボディが4代目(B8系)となり、前年同様4チームに10台を投入。エクストロームとティモ・シャイダーが各3勝を挙げて、シャイダーが初タイトルを獲得した。2009年は4チーム計12台(アプトに09年モデル4台を投入)が参戦して4勝をマーク。うち2勝を挙げたシャイダーがタイトルを連覇した。

2008年モデルからはベース車両がB8系へと進化
2008年モデルからはベース車両がB8系へと進化
トム・クリステンセン引退レース時の2009年モデル。2009年以降は11年まで同じモデルが使用された
トム・クリステンセン引退レース時の2009年モデル。2009年以降は11年まで同じモデルが使用された

 2010年はアプト、フェニックス、ロズベルグの3チーム9台で参戦。エクストロームとシャイダーがそれぞれ1勝を挙げるにとどまった。

 2011年も3チーム9台での参戦となり、フェニックスからアプト入りしたマイク・ロッケンフェラーがザントフールトで初優勝。アプトのエクストロームが3勝するも、フェニックスの型落ちモデルで参戦したトムチェクも3勝しドライバーズタイトルを獲得。チームタイトルではアプトがチャンピオンに輝いた。

 また、ノンタイトル戦として7月に開催されていたミュンヘン・ラウンドでは、ロズベルグのエドアルド・モルタラが優勝飾っている。

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サンエイムック『新旧DTMマシンのすべて 1984-2019』は11月5日より好評発売中。



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